系譜

香道御家流(霽月会)の由緒

【香道御家流の成立】

御家流は、流祖を室町期に活躍した三條西実隆公としています。実隆公は当時、和歌、書道、有職等の教養にも造詣が深く、有名なところでは二條家学派の古今伝授を伝承していたということが知られています。
室町時代に至っては、 王朝で用いられた練香であるところの薫物は、
香木を用いる香合わせと次第に交叉するようになり、後、一木香による香道が成立していきました
将軍 足我義政 が当時の東山文化の中心物であり、三條西実隆公を招いての
香の記録(五月雨日記)が知られています。

系譜においては実隆公の子孫から烏丸家に伝わり、九代目の油小路家までは殿上を許された殿上人でした。
公家の中でも、風早家、園家、三條家、柳原家とそれぞれ公家の御家流として伝わりました。
十代目の猿島胤直によって地下に流れ、以後は直接の公家文化から離れていきました。

【香道御家流の最盛期】

徳川時代になると、御水尾天皇、明正天皇、後光明天皇、後西天皇,霊元天皇、東山天皇による
勅銘香も多く見られており、公達をはじめてとして、東福門院、米川常伯らも協力して、
多種の盤物が創作されています。
また、御家流においては、第13代、大枝流芳の創作による、組香も多種現存しており、
当時の組香全盛期としての、栄華が見受けられます。
また、香道欄の園においても、多種に及ぶ、組香、盤物が明記されており、香道としての最盛期に相当し、
当時急速に盤物が流行したことがうかがえますが、
その後たちまちにして、衰えたのです。盤物こそ香道の最盛期の花であり、
その花は又、すぐに散ったのでありました。

【柳原家の香道】

香道系譜には、明治時代、柳原 華子様がおいでになりますが、
大正天皇のご生母様は柳原 愛子様でございました。
御用係でもありました、柳原 華子様は、北小路 功光氏の叔母様にあたりまして、
御母様は和歌で有名な、
柳原 白連 様でございます。

北小路 功光、成子 ご夫妻は、受け継いできた香道の研究に研鑽を重ね、
陽明文庫の依頼もあり、近衛家の文献、
及び、徳川美術館の香道の研究にも尽力されました。
後に【香道への招待】を発刊する起因にもなりました。 

【三條家の香道】

三條家においては
流派としての形式はとっておりませんでしたが,
三條家は代々「宮中御用の合せ香」の秘方を、900年来より、脈脈と伝承され、
三條 實美公により
(六種薫物)等の秘伝の調合法を持って、幕末まで、(香所)宮中に仕えておりました。
近年においては堂上、禁中の香道を代々継承していた、
三條 實久氏が正式に御家流名誉顧問として推戴されました。

【流儀の特徴】

流儀の特徴としては、公家の文化を主体としておりますので、
使用する道具も蒔絵等の華やかなものが多く、
香の楽しみ方は、気品を尊びながらも、同じ香道の流派である武家の流れを汲んだ流派とは違い
作法を堅苦しく構えない、雅で
サロン的雰囲気の中で、香りを楽しむことを重としております。

【香道御家流の再興】

幕末より、戦乱の世を経て、第二次世界大戦後には地下に伝わっていた御家流が改めて復活してきました。
当時の香道御家流の家元であった第22代、山本霞月宗匠の御尽力は深く、
お弟子でもあった三條西堯山氏、北小路 成子氏、
正田富美子様(皇后様のお母様)
先人の諸先生方により復興していきました。

現在、香道御家流 霽月会は、由緒ある、三條家、柳原家、北小路家のそれぞれの御家流が三位一体となり、三條實久氏、北小路成子氏、長濱閑雪によって組織されております。

霽月会会員は,御先師方の恩恵に感謝申し上げて、諸先生方のご指導をいただきながら、
この御家流の古式ゆかしき精神と、公家文化の作法(有職故実)を中心に
伝統文化継承の為に日夜稽古に精進しております。 


【御家流(霽月会)歴代系譜】

雅号通名没年享年
流祖三條西堯空実隆天文6 83
第2代三條西公條永禄6 77
第3代三條西豪空実枝天正769
第4代細川玄旨藤孝/(幽斎)慶長1577
第5代近衛三藐院信尹慶長1950
第6代中院通勝慶長1555
第7代烏丸光廣寛永1560
第8代油小路隆基明暦元
第9代烏丸資慶寛永948
第10代油小路隆貞元禄1274
第11代猿島(帯刀)家胤
第12代大口含翠/(樵翁)保喬明和元76
第13代大枝流芳/(岩田漱芳)信安宝暦元
第14代大口恕翁保教安永7
第15代濱島如恒元邦
第16代飯田淵治政宣
第17代伊豫田宗茂勝由
第18代細谷久茂(一元斎)安政2
第19代細谷松茂久成/(為春斎)明治3272
第20代水上妙秀
第21代増田秀月(胡蝶庵)昭和3792
第22代山本霞月伽耶昭和4677
第23代三條西堯山公正昭和5983
第24代北小路 堯紅成子
第25代
(当代)
長濱 閑雪(翠篁庵)
第26代織田 閑山(翠篁庵)
名誉顧問 三條 實久(閑院)

【柳原家の歴代系譜】

柳原家系譜雅号通名備考没年享年
第20代細谷松男(19代細谷松茂の嫡男)
第21代都築成幸昭和4569
第22代式守蝸牛宣利(式部職)昭和2172
第23代柳原華子(大正天皇生母、愛子の姪)
第24代柳原白蓮燁子(北小路功光の母)昭和4281
第25代北小路 功光平成元
第26代北小路 堯紅成子第24代香道御家流
第27代
当代
長濱 閑雪 (翠篁庵)第25代香道御家流
第28代織田 閑山(翠篁庵)第26代香道御家流
TEMP_IMG

香道御家流 第二十二代 山本 霞月 宗匠

戦後の香道御家流の再興に尽力されました。

TEMP_IMG

正田 富美子 様を御迎えしてのお香席

上記写真画像2点、北小路 成子 所蔵、転載禁止


戻る